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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻2号

1973年02月発行

文献概要

論説

下肢動脈慢性閉塞性疾患に対するデキストラン硫酸の動脈内注入療法

著者: 福満東馬1 草場昭1 清瀬隆1 朔元則1 古山正人1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.269 - P.274

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はじめに
 末梢動脈慢性閉塞性疾患に対する血行再建術は合成血管移植術,自家静脈移植術,あるいは血栓内膜剥離術など,それぞれの適応においてほぼ標準化されてきているが,下肢動脈血行再建術では膝窩動脈までが,適応の安全限界と考えられている.しかしながら,本邦における下肢動脈閉塞症は膝窩動脈以下の閉塞,あるいは大腿動脈以下広汎閉塞などの症例が少なくなく,その治療には困難をきわめる.
 われわれは大腿動脈以下広汎閉塞例に対しては,いわゆるA-V shunt術式1),膝窩動脈以下の閉塞例に対してはhydrostatic pressure dilation techniqueなどを考案し,かなりの症例に効果を得ているが,末梢の閉塞病変が高度でこれらの術式の適応外と考えられる例,あるいは血行再建術後の再閉塞例など,血行再建術を断念せざるを得ない症例も少なくない.このように血行再建が行なえず,しかも潰瘍,安静時疼痛などの阻血性症状の著しい症例に対しては,各種薬剤の配域動脈内注入法2)3)4)5)(以後「動注」と略記する)を行なつている.「動注」にはH2O2,低分子デキストラン,デキストラン硫酸などの投与を試みたが,デキストラン硫酸(以後D.S.と略記する)3000mg〜6000mgの大量投与で良好な成績を得,また「動注」前後の血液凝固学的検査において興味ある結果を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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