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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻3号

1973年03月発行

特集 肝癌の外科

肝癌と肝切除—肝硬変との関連のもとに

著者: 石川浩一1 菅原克彦1 柏井昭良1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.349 - P.355

文献概要

はじめに
 原発性肝癌の治療成績がきわめて悪いのは進行肝癌が多いことのほかに肝硬変症の併存にも原因がある.高度の肝硬変症が存在すると手術手技上の困難が生ずるのみならず,肝不全をきたして術後のcritical stageをのりきり得ない危険が大きい.もし幸いにこの時期をようやく経過し得ても残存肝の再生肥大を望みがたく1),補充療法にも限界があるので,早期に死にいたる.また肝硬変を基盤として発生する原発性肝癌は多発中心性に発生することが多いので,現在の癌を切除し得てもやがて再び他部から発症する可能性が高い.
 最近,オーストラリア抗原(Au抗原),α-Feto-protein(AFP)の測定技術が進歩し,ウイルス肝炎とAu抗原,肝癌とAu抗原,肝癌とAFPについて多くの研究をみるにいたつた.Au抗原とウイルス肝炎,肝硬変,肝癌の疫学的検討は,切除可能な肝癌の発見につながる一つの道でもある.著者らは主としてAFPの外科臨床での意義について検討してきた2)が,さらにAu抗原との関連について少数例ではあるが自験例を中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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