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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻3号

1973年03月発行

文献概要

特集 肝癌の外科

切除不能な肝癌の治療法

著者: 武藤輝一1 吉田奎介1 伊藤博1

所属機関: 1新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.357 - P.363

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はじめに
 肝癌の治療法としては肝切除による癌腫の摘出が最も根治性の高いものであることは異論のない所である.教室における昭和36年からの35例の原発性肝癌について治療別にみた生存曲線は第1図の如くであり,小児肝癌3例を含む切除し得た8例の3年生存率は50%と,他の群に比べ格段に良好である.しかし,原発性肝癌の切除率はたかだか20数%に止まり,残りの大部分は何らかの理由,すなわち切除可能限界を越えた癌腫の拡がり,肝硬変の合併等のため,切除不能として姑息的治療に終始せざるを得ないのが現状である.教室の症例についてみても,切除率は35例中8例,23%に過ぎず,転移性肝癌においてはなおのこと切除の可能性は小さい.したがつて臨床医にとつては,たとえ姑息的であつてもこれら切除不能の肝癌に如何に対処するかは,日常さし迫つた課題といわねばならない.
 原路性および転移性を含めて肝癌が切除不能な場合,今日行なわれている治療法は施設により種種であるが,およそ下記の如く大別できよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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