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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻4号

1973年04月発行

文献概要

特集 術後ドレナージの実際

胃・十二指腸手術後のドレナージ

著者: 長尾房大1 池内準次 猪又義光

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科

ページ範囲:P.493 - P.497

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はじめに
 ドレナージは,排膿,または,排液の方法として,古くから使用されているところの外科的治療法の1方法である.その有用なる効果面においては,ドレーン1本の存在の有無によつて,患者の生死を決定する場合も決して少なくないことも周知の事実であり,また,外科医であれば,基本的な知識としては十分に承知している筈のものである.しかし,実際には,ドレーンを置くか否かの正しい判断となると,全く勘に頼つているといわれても過言ではあるまい.このように,ドレナージは外科的手技としてしては初歩,基本的にあるわけだが,一方,case by caseという,便利だが実際には不親切な言葉で説明されているので,手術手技そのものよりも重要な立場になることがある.
 近年,外科学は進歩したといわれている.事実そうであろう.しかし,その進歩の大きな原因となつているのは,手術手技そのものは当然として,積極的,かつ拡大的に手術を行ないうる状態を管理する麻酔学が進歩したためであり,さらに,その手術に見合う術前術後の管理ならびに抗生物質の発達が基本となつているからである,とくに,抗生物質の発見以来,外科治療の成績は異常に向上したが,これと併行して,ドレナージの考え方,使用方法も昔と比較すると,きわめて大きい変化を伴つてきたことは当然であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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