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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻6号

1973年06月発行

文献概要

特集 麻酔—外科医のために Poor Riskの麻酔

腎機能障害の麻酔

著者: 加藤浩子1 森健次郎1

所属機関: 1京都大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.757 - P.760

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Ⅰ.腎不全の病態生理
 急性腎不全とは,臨床上急激に乏尿,無尿,尿毒症状をきたすものをいい,成因として,腎前性,腎性,腎後性のものがある.尿路閉塞による腎後性のものを除いては,一般に,外科手術後の合併症としてみられることが多い.術中の出血性低血圧による腎の乏血,胆道手術後にみられる肝腎症候群,異型輸血による急性尿細管壊死などが,その例である.近年妊娠中毒症などの産科領域の急性腎不全は減少しつつあるが,反面,交通外傷による外傷性急性腎不全は増加の傾向を示している.急性不全は,病態生理学的には,1)腎血流の減少による糸球体濾過の減少,2) aldosteroneを介しての尿細管再吸収の増加,あるいは,腎乏血により生じる尿細管細胞へのback diffusion,3)尿路閉塞による腎盂内圧の上昇が考えられる.
 急性腎不全が術後性のものとして遭遇されるのが多いのに対して,術前に腎障害を有している患者の多くは,慢性腎不全を呈している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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