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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻7号

1973年07月発行

文献概要

特集 再発癌—follow-upとその治療 Ⅲ.乳癌

乳癌術後follow-upについて

著者: 久野敬二郎1 深見敦夫1 木下巌1 中川安房1 霞富士雄1

所属機関: 1癌研究会附属病院外科

ページ範囲:P.929 - P.935

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はじめに
 乳癌の治療は,第1に手術を行ない,次に補助療法として,照射療法,化学療法.内分泌療法が追加される場合がある.手術療法にはHalsted以来のRadical mastectomyが広く行なわれているが,胸骨労リンパ系あるいは鎖骨上窩リンパ系を郭清する拡大根治手術も行なわれている.一方では,小胸筋を保存する非定型的乳房切断術,さらにMcWhirterの主唱する単純乳房切断術+照射療法もある.これら手術の優劣は必ずしも結論に達しているとはいえない.照射療法は,一般には術後に行なわれているが,術前照射を行なう人もあり,照射の適応ならびにその価値についても,報告者により意見は一致していない.根治手術後の予防的去勢術あるいは制癌剤の投与を積極的に行なう人と行なわない人がいる.このように,現在においても乳癌の治療方針は確立されていない.これらの治療法の評価は,治療後の遠隔成績とその治療による障害の程度によつて決定される.
 乳癌の根治手術後に,不幸にして癌が再発した場合,早くに発見して放射線療法,手術療法,内分泌療法,化学療法などをうまくとり入れて治療すれば,相当長期間にわたつて症状の軽快と延命を期待することができる.定期検診により再発を早期に発見することは大切であるが,同時に反対側乳房の重複癌を発見する機会が得られる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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