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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻8号

1973年08月発行

文献概要

特集 急性腹膜炎 胃・十二指腸穿孔治療上の要点

腹腔内洗浄と合併化学療法の意義

著者: 渡辺晃1 村上穆1 俣野一郎1 柴崎信悟1 小林正義1 加畑治1 松本高1 小川純一1 西野弘美1 田村晄一1 福田欣孝1 軍司光夫1 野木東洋2 大関庸一3

所属機関: 1国立水戸病院外科 2大洗海岸病院 3茨城国保病院

ページ範囲:P.1057 - P.1067

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はじめに
 研究というのは真理の探究には違いないが,その終局の目的はやはりなんらかの形において人類に貢献するものでなければならないと思う.医学の研究は,本邦では特に学位論文が中心で,それだけを目的とした無味乾燥な研究もかなり多く,実際その研究に従事してきた医師は,忍従の数年間を大学医局において過してきたと述懐する者もかなり多いであろうと思う.というのはあまりにも最近は臨床とかけ離れた研究が多くなつてきたためと思う.さて急性腹膜炎とは,最近までほとんど学会でも問題にされなかつた.つまり大学病院では急性腹膜炎の臨床例が少なかつたので,大学での研究テーマには取り上げられなかつたためであろう.筆者は10年前に国立水戸病院に着任して数多い急性腹膜炎症例に遭遇して,それから真剣にこの問題解決のため臨床的研究を始めたのである.
 大学では臨床例が少ないから勢い実験に頼らざるを得なくなり,各種条件下にいろいろな腹膜炎を定量的に動物に起こさせて,その病態生理,ショック発現機序,治療方針等を考究し各群毎に成績を出して臨床例に関する治療方針を打ち出そうといろいろ研究が進められてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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