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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻8号

1973年08月発行

文献概要

論説

肝動脈結紮後の肝機能の変化

著者: 永末直文1 綾部欣司1 村上博圀1 市丸喜一郎1 荒木貞夫2 草場威稜夫3

所属機関: 1済生会八幡病院外科 2福岡大学医学部外科 3九州歯科大学外科

ページ範囲:P.1135 - P.1141

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はじめに
 1922年のRitter,A.37),1933年のGraham,R.R.13)らの報告以来,肝動脈結紮は腹部外科に携わる者にとつては常に不安な合併症であつた.これらの報告は胃,胆嚢,総胆管,膵などの手術時に不慮の合併症としてみられたもの(accidental hepatic artery ligation)であるが,最近でのaccidental hepatic artery ligationの致命率も半世紀前のそれとあまり変つていない.すなわちMonafo,W.W.28)らKarasewich,E.G.18)らは最近の報告の中で,もし肝固有動脈あるいはそれより末梢での損傷に気付いたら,ただちに血行再建をすべきであると述べている.しかしBrittain,R.S.10)ら,Andreassen,M.6)らの報告のように致命的な影響のみられなかつたものもある.
 これに反して1950年頃より肝硬変症16,36),肝動脈瘤20),肝血管腫17),肝外傷38),肝動静脈瘻24)などの治療法としてやむなく,肝動脈結紮を行ない(therapeutic hepatic artery ligation)生存できた症例が多くみられるようになつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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