文献詳細
手術手技
Intestinal Splinting法—癒着性イレウスに対する簡便な手術法
著者: 山本修三1 関淳1 松土昭彦1 丸谷巌1 水口芳春1 宮川健1 菅家透1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部一般消化器外科
ページ範囲:P.1281 - P.1287
文献概要
一般外科医にとつて腸管癒着の問題は,誰もが日常経験する不愉快な問題である.手術に成功しても癒着による障害を残したり,術後早期に癒着性イレウスのために再開腹を要する場合もある.術後早期の癒着性イレウスの手術は時に困難であり,その結果,吻合病またはPolysurgeryの患者をつくることにもつながる.従来より腸管癒着の機序の解明,これに対する防止法の研究1)2)など種々行なわれているが,いずれも癒着を皆無にすることには成功していない.したがつて開腹術後の癒着性イレウスの発生はある程度不可抗力と考えられる.一方結核性腹膜炎の如く全小腸に癒着があつても,臨床的に全く通過障害を伴わない場合もあり,癒着性イレウスの発生は癒着の量よりも,腸管の閉塞または狭窄をきたすような形の癒着が問題となる.したがつて癒着の発生を皆無にすることが不可能な現在,腸管の閉塞,狭窄を生じないように癒着または腸管の配列をコントロールして,癒着性イレウスの発生を防止できないか,という考え方も成り立つであろう.従来よりこのような考え方による癒着性イレウスの防止手術として,NobleのPli-cation手術3)があり,その有用性も認められている4)5)が,操作に時間がかかること,合併症6)7)等種々問題も多い.
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