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文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻9号

1973年09月発行

文献概要

臨床報告

食道癌に対する術前療法の意義

著者: 竹中正治12 谷田秀12 宗像雅丈12 竹内隆12 谷田理12 阿部重郎12 綾部正大12

所属機関: 1鳥取大学第1外科 2現大阪逓信病院外科

ページ範囲:P.1289 - P.1295

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はじめに
 食道癌に対する外科的治療は,新しい手術法の考案,術前の照射療法,化学療法の併用などによつて,かなり良好な成績がえられるようになつてきた.しかしまだ満足できる遠隔成績といえるものではない.その原因としては,食道癌の早期発見の困難性,年齢的因子,長期の摂食制限による栄養状態の低下,過大な手術侵襲などが挙げられる.現在,癌の根治は早期発見,早期治療が遠隔成績を向上させるのに欠くべからざる条件であるが,実際には早期発見は困難で,外科的療法の適応の限界に近いような進行癌が多い.そのような症例には外科的療法の補助的手段として,照射療法をはじめ化学療法がさかんにおこなわれている.ことに遠隔転移病巣に対しては,主として化学療法が期待されるが,症例によつては副作用だけが強調されて,所期の効果をあげえないものが多い.
 Bleomycinは1962年に梅沢ら19)によつて発見されたStreptomyces verticillusから製成され,市川ら5)によつて皮膚癌ことに陰茎癌に著効を示すことがあげられている.最近では,これが食道癌の術前化学療法,または切除不能例に対する化学療法として,有効であるとする報告が多数みられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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