文献詳細
臨床報告
潰瘍性大腸炎にみられたtoxic megacolonについて
著者: 豊島宏1 内木詢一1 石井宏1 小川威示1 板東隆文1 山本英一2
所属機関: 1日赤医療センター第2外科 2清志会山本病院
ページ範囲:P.1329 - P.1333
文献概要
重症潰瘍性大腸炎の経過中に結腸の拡張をみとめる症例が注目されはじめたのは,比較的最近で1950年代のことである.Bockus,Roth一派は2)26),これを"toxic dilatation of the colon","toxic aganglionic mega-colon"と呼んだ.その後Marshak16),McInerney18),Norland22)らによつて多数の自験例にもとづいた貴重な論文が次々と発表されている.本邦では井上8),久保田13),槙15),名尾20)らの報告があるが典型的な症例は極めて少ない.
Marshak16)が"striking colonic distention with ex-treme toxicity"と表現しているように本症は潰瘍性大腸炎のもつとも劇的な合併症の1つであるが,その成因や治療法については未解決の点が多い.われわれはrelapsing-remitting type3)の急性増悪期に発症した症例を経験したのでこれをもとにして問題点を検討した.
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