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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科29巻1号

1974年01月発行

雑誌目次

特集 外科とME—その現況と将来

呼吸と循環のモニタリング—特に術後管理において

著者: 綿貫喆

ページ範囲:P.17 - P.23

はじめに
 工学におけるエレクトロニクスの発展は近年実にめざましいものがあり,一方これを医学領域に応用しようとする試みがとみに盛んになり,医学と工学との協力による境界領域の学問であるME(医用電子工学)が急速に発達した.最近ではMEは非常に幅が広くなり,それぞれの成果は医学の各方面に応用されるようになった.しかし生体の計測という領域は依然として重要なパートを占めており,新しい変換器が開発されて,生体内のいろいろの諸情報がえられれば,それだけ医学に貢献することが大となる.従来からも心電計,脳波計や筋電計などが生体計測に用いられてきてはいるが,MEの発達に伴つて,これらも一段と進歩するとともに,他の変換器開発に伴つて最近では多くの生体情報がえられるようになつた.これらの計測機器の発達とともに,計測結果を観察したり記録したりする装置も発達し,最近の多用途測定記録装置のように,多くの計測結果を同時に記録できるようになつた.これらを利用すれば,患者を機械によつて監視することも可能となる.
 最近手術室用監視装置,ICUやCCU用監視装置など新しい製品が多数作られるようになつてきた.しかし計測記録装置をいくつかよせ集めてきても監視装置とは呼ばれない.

ペースメーカー最近の問題

著者: 三井利夫 ,   三枝正裕

ページ範囲:P.25 - P.32

はじめに
 電気刺激により心臓が収縮することはかなり古くから知られていたことであるが,これが徐脈に対する治療法として臨床に用いられたのは1952年Zollら1)の報告をもつてその嚆矢とする.しかしこれは体表面から通電が行なわれたもので,パルス発生装置を体内に植込み長期的にペーシングを行なうようになつたのは1956年からで,わが国では1963年に最初の植込み手術が行なわれた2)
 その後本法の発展はめざましく,その適応は徐脈のみでなく,頻脈の治療にまで拡大され,ペースメーカーの機械的信頼度は向上し,その電源としてラジオ・アイソトープの利用も実用化されるようになつた.また患者のアフター・ケアーの面でも,電話電送による電池消耗度の管理など広域医療への第一歩もふみだされた.しかし,生体の微妙な反応に即応するため機械の機能を高めれば複雑化による信頼性の低下をまぬがれず,また機械の変化に適応しきれない生体側の問題もおこつてきている.これらの諸問題にふれながら本法の現況と将来への展望を述べてみたい.

新生児における呼吸管理—特にレスピレーター使用による

著者: 三川宏 ,   牛尾邦男 ,   新崎康彦

ページ範囲:P.33 - P.41

はじめに
 新生児期は外界への適応現象がもつとも活発に行なわれている時期であり,呼吸生理の面においても胎児期に胎盤を介してガス交換を行なつていたものが,出生を境いに肺における換気による呼吸へと短時間に急激な変動が起こり,呼吸不全を惹起することが少なくない.
 従来新生児の呼吸不全に対する救急蘇生法としての人工換気に関しては歴史的なものを含めて多くの文献がみられるが1),レスピレーターを使用した機械的人工呼吸を含む呼吸管理としては報告も少なく,特に具体的な方法を詳述した論文2)3)は数える程しかみられていない.しかし最近では従来は困難とされていたIdiopathic Respiratory Distress Syndrome(RDS,IRDS)に対しても早期より積極的な人工呼吸管理が行なわれるようになり,Daileyらの機械的人工呼吸を使用した報告1),GregoryらのCPAP(PEEP)による治療成績4)など生存率の向上したことが報告されてい.

心臓手術後患者のコンピューターによる自動監視治療

著者: 今井康晴 ,   高梨吉則 ,   田中徳太郎 ,   谷本欣徳 ,   今野草二 ,   榊原仟

ページ範囲:P.43 - P.50

はじめに
 医学の進歩にともなつて臨床医学部門にもコンピューターの導入が試みられている.われわれも東京女子医大心研のICUで,コンピューターを利用した患者監視治療装置を開発し,臨床使用しているので,装置の概要をのべ,さらにコンピューターの医学利用の問題点について将来の展望をのべてみたい.

座談会

MEの将来—工学の立場から

著者: 戸川達男 ,   横山正義 ,   内山明彦 ,   森有一 ,   日下部正宏 ,   榊原仟

ページ範囲:P.54 - P.68

 電子工学は現在,時代の花形として,きわめて日常的な領域にまでその影響ははかりしれないものがあります.しかし,医学就中,日常臨床への応用となると,未だしの感をまぬがれ得ません.
 ここでは,そのような『これからの』研究領域としてのMEを,これまで多く語られてきた『バラ色の未来』としてではなく,より現実的な,将来へ向けてなすべきことは何かといつた難点でとらえ,おもに工学系の方々を中心に,MとE相互に問題点を出しあつていただきました.

カラーグラフ 臨床病理シリーズ・22

絞扼性イレウスにおける絞扼腸管の術中肉眼的所見—Color Indexによる損傷度の判定(その2)

著者: 松峯敬夫

ページ範囲:P.8 - P.9

症例2(組織損傷高度例)
 色調:絞扼空腸には,黒みを帯びた暗赤色(C.I.No.5に比較的近い色調)から,黒(C.I.No.7)に至るまでの,各段階の色調の部分が斑に混在している.
 組織像:小腸壁全層にわたり高度の出血性壊死に陥つている.粘膜層は強い壊死の結果融解しており,所々に細菌巣ができている.血の海と化した粘膜下層には,著しく拡張し壊死に陥つた多数の血管が目につく(第7図).固有筋層もまた強い壊死に陥り,好中球による強い浸潤を受けている.漿膜下層にも強い出血と好中球浸潤とがみられる(第8図).

グラフ

人工心臓

著者: 阿久津哲造 ,   鬼頭義次 ,   本田剛彦 ,   W・Harry

ページ範囲:P.11 - P.16

 現在完全人工心臓という定義には両心バイパスによる両側補助循環をも含めた広義の解釈もあるが,本稿では著者のいう,"total artificial heart",すなわち両側置換完全人工心臓(total heart repl-acement system)について紹介する.
 著者が1957年に初めて,完全人工心臓を犬に移植した時の生存時間はわずか90分間であつた,以後,1960年後半に至るまでの10年間は50時間を越えることが非常に難しかつた.1970年になると,ようやく各人工心臓研究グループが100時間の線に近づくことができるようになり,さらに1971年になると,一躍,著者らのグループとKo-lff教授らのグループ(ユタ大学)が仔牛を使つて1週間ないし10日の生存例を出し得るようになつた.これ以後は1週間以上の生存例を得ることは,さして難事ではなくなった.1973年になり,Kolff教授らのグループ,能勢博士らのグループ(クリーブランド・クリニック)がそれぞれ18日,17日の長期生存例を出し,さらに著者らの24日14時間(590時間)というところまで大きく延びてきたのである.

学会印象記

第35回日本臨床外科医学会総会印象記

著者: 榊原宣 ,   吉田雋 ,   平井慶徳

ページ範囲:P.70 - P.73

 第35回日本臨床外科医学会総会は10月27日から3日間,山口市で開かれた.山口市民会館大ホールなど4会場には,全国の大学,民間の臨床外科医約2,000人のほか,中華医学会訪日代表団6名(団長・呉咸中天津市南開医院副院長外科副教授)やWilliam C.Shoe-maker New York市立大学教授が招聘講演に参加した.総会は,「そけいヘルニアの外科」,「植物状態人間の臨床」,「老人外科」など6シンポジウムを中心に,胃,乳腺,胆道など30分野にわたつて活発な討議がなされた.なお第2日目に行なわれた総会議事で,次回第36回日本臨床外科医学会総会会長に群馬大藤森正雄氏,準備委員長に同小泉次郎氏が選ばれ,1974年10月18日より3日間,群馬県前橋市で開催されることになつた.

移植臓器保存—最近の進歩—第1回国際臓器保存シンポジウムより

著者: 出月康夫

ページ範囲:P.74 - P.77

 腎移植をはじめとする臓器移植が,今後わが国で治療法として普及するか否かは,もう少し広く屍体臓器が利用できるようになるかどうかにかかつている.人工腎臓が普及し,慢性血液透析患者の激増しつつある現状と,これらの患者の腎移植への切実な願いをかなえるためにも,わが国においても屍体腎の利用が実現されることがのぞましい.
 すでに,腎移植,肝移植,心移植,膵移植などで屍体臓器が広く利用されている欧米諸国では,臓器保存に対する関心も高く,その研究が熱心に続けられている.

私の意見

安楽死

著者: 横山正義

ページ範囲:P.78 - P.79

 小生の友人であるN君は医学部を卒業し,幾多のロマンスを経験して,卒後8年目にようやく結婚にゴールインした.ところが,結婚してまもなく腹痛がはじまり,ときには仕事をやすまなければならないこともあつた.当初は胃炎だろうとか酒の飲みすぎだろうくらいに考えていた.腹痛が徐徐に強くなるのでバリウムを飲んで胃透視をうけたところ,検査をしていた彼の友人の願は蒼白になつた.N君の胃はまぎれもなく高度に進行した胃癌だつたのである.レントゲン検査後,数日でN君は開腹手術をうけた.しかし胃癌はすでに腹腔全体に転移しており手術不能であつた,手術後N君には胃潰瘍で胃切をしたほかの患者の標本をみせ,「君の胃は全部切除したので大丈夫だ」と説明した.
 N君の容態は急速に進行し幽門狭窄のため食餌はできなくなつた.腹痛も激しくなつた.そのうち肺炎を併発し喀痰が多くなつたので,主治医は気管切開を施行し,その部よりN君の気管分泌物を吸引した.しかし,呼吸は一日一日と弱くなるので,呼吸補助のため呼吸器を使用しはじめた.ブドウ糖,アミノ酸など経静脈栄養を連日施行した.静脈が閉塞するたびに新しい部で静脈切開をおこない点滴を継続した.この間,頻回に心電図をとり,強心剤や利尿剤を注射した.N君は病院内で評判がよかつたこともあり,全部の医師と看護婦はみずから彼の治療に参加した.

臨床研究

漏斗胸外科15年の知見(その2)—術後成績および長期予後

著者: 浅井康文 ,   樫野隆二 ,   池田晃治 ,   和田寿郎

ページ範囲:P.85 - P.90

はじめに
 1972年8月末までに当科外来を訪れた漏斗胸患者は518例に達し,このうち331例に手術を行なう機会を持つた.術式は胸骨挙上法(Brown氏法)1),それに教室で考案した胸骨飜転術(Sternoturnover)2),および非対称例に対する肋壁成形術(Costoplasty)2)である.漏斗胸の成因,臨床所見,手術適応,手術法および合併症などについては報告したが3),本編ではこれら3つの手術法の術後成績,長期観察結果を患者の評価の面から述べ,あわせて文献的考察を行なつた.

ペースメーカー移植の臨床

著者: 熊崎俊英 ,   岡田英也 ,   松本一明 ,   鈴木克昌 ,   藤浪隆夫 ,   岡戸洪太 ,   千田勝二

ページ範囲:P.91 - P.95

はじめに
 人工ペースメーカー(以下P.M.)とは,心臓に対する人工の歩調取り1)であり,その臨床応用は1952年Zollが胸壁体外電極を使用した2)のにはじまり,その後の医用電子工学の進歩および心疾患の診断技術の向上さらには心臓外科の進歩に伴つて急速に発展してきたものである.しかしわが国におけるP.M.の使用数は欧米諸国のそれと比べて極めて少ない.すなわち1971年までに,人口100万人に対するP.M.植込み患者数は,アメリカのそれの9%程であり,スウェーデンの4%程度であるとされている.この様にわが国のP.M.使用症例数が著しく少ない理由の1つには,わが国における成人心臓病の発生率が欧米諸国に比べて少ないことをあげることができるが,その他の大きな理由として,一般へのP.M.に関する知識の普及度が低いことがあげられる.前者に関しては,わが国における食生活の欧米化等に伴つて年毎に心臓病による死亡率が急激に増加してきており3),P.M.移植適応症例も今後急速に増加してくるものと思われる.

乳癌治療の統計的観察

著者: 冨永健 ,   芝茂 ,   北村正次 ,   鄭則之 ,   田口鉄男 ,   大向良和 ,   藤田昌英 ,   高見元敞 ,   中野陽典 ,   高橋明 ,   薄金真雄 ,   前田利信

ページ範囲:P.97 - P.102

はじめに
 大阪大学微生物病研究所附属病院外科において,1951年以降,1972年6月末までに乳房切断術を行なつた乳癌症例について,とくに遠隔成績を中心として統計的な観察を行なつた.
 この間,乳癌の診断法および治療方法を変更しており,とくに手術術式に変遷があつた.すなわち,初期においては,診断法は触診を主とし,これにbiopsyを併用して根治手術の適応を決めていたが,1957年以降は乳腺腫瘤を有する患者は原則としてすべて入院せしめ,excisional biopsyを行ない,ただちにfrozen sectionで組織診断を決定,悪性の場合はただちに根治手術,またfrozen sectionの標本で確定診断をつけ得ない場合はparaffin sectionのでき上るまでまち,その結果によつて手術を行なうか否かを決定した.しかし,最近マンモグラフィー等の補助的診断法の進歩もあり,また悪性の場合でもbiopsyと根治手術の間隔が,10日前後なら,特別の場合を除いて必ずしも予後に関係しないという乳癌研究会での統計成績等もあることから,malignancyの可能性が低いと考えられる場合は外来でbiopsyを行ない,paraffin sectionの結果を得てから方針をきめるように変つてきている.しかし,この場合でも剔出腫瘤に肉眼的にmalignancyのうたがいがあれば,すぐにfrozen sectionによる診断を行なうようにしている.

閉塞性動脈硬化症に対するGas endarterectomy

著者: 竹内慶治 ,   西川邦 ,   川原英之 ,   別所隆 ,   小谷野憲一

ページ範囲:P.103 - P.107

はじめに
 腹部大動脈・腸骨動脈・大腿動脈領域の閉塞性硬化症の血行再建術として,血栓内膜別除術または代用血管によるバイパス法が行なわれているが,近年,血栓内膜剔除術の術式の1つとして,Sobel,Sawyerらはgas endarterectomyを考案し,注目された1)2),わが国では村上,田辺ら3)4)の本術式に対するすぐれた臨床経験が発表されているが,そのほかには報告がないように思われる.われわれは,最近,3症例に対し,この方法を行なつてみたので,その経験を述べ,評価を加えたいと思う.

放射線障害と外科的治療

著者: 塚田貞夫 ,   赤羽紀子 ,   柳下邦男 ,   山本正樹 ,   宮永章一 ,   岩泉九二夫 ,   北村清隆

ページ範囲:P.109 - P.116

はじめに
 放射線による皮膚障害は放射線診断・治療および職業性・災害事故において,電離線照射を累積的に受けた結果,その局所の組織に発生する.このような放射線照射を受けた組織は構造的にも,機能的にも変化をきたしているため,治癒過程に障害が起こり,種々な不慮の合併症が発生する.殊に急性期のほかは,保存的治療のみではどうしても治療の困難な場合がしばしば起こり,また病勢が進行性で,悪性化の危険性もあり,外科的治療の必要な場合が多い.
 筆者らは1961年4月から1971年12月の10年9カ月間に,金沢大学皮膚科において扱つた本症110例を統計的に観察し,外科的治療を行なつた症例について,若干の検討を加えた.

臨床報告

進行乳癌に対する制癌剤の内胸動脈持続注入療法

著者: 阿部力哉 ,   種市襄

ページ範囲:P.119 - P.124

はじめに
 臨床的に使用される制癌剤の数は年々増加してきている.しかしながら現在は,そのいずれもが,腫瘍自体に十分の制癌効果をあげるに足る量を投与する前に,副作用の発現をみるようになるのが実状である.この副作用のうちでは,白血球や血小板の減少という骨髄抑制作用がもつとも重大なものであるが,食思不振,嘔気や下痢などの消化管障害のみられることもあつて,しばしばそのために制癌剤による治療を中止せざるを得ないようになる.それ故にこれらの副作用を軽減しようという目的のための制癌剤の投与法が数多く考案されている.このうち局所動脈内投与法は,制癌剤を病巣部に限局して投与し,腫瘍自体に高濃度の薬剤を分布させて,その制癌効果を高めるとともに,全身に及ぼす副作用を軽減することを目的としたものである.
 現在,乳癌に対してまず第1にとられる治療法は根治手術である.しかし進行した乳癌や再発乳癌に対しては,手術以外にも照射療法,内分泌療法および化学療法が行なわれていて,そのいずれも,かなりの治療効果が認められている.そして治療効果を一層高めるためには,それぞれ単独で行なわれる治療よりも,むしろ合併治療の行なわれるのが普通である.

下肢末梢の慢性動脈閉塞に対する積極的血行再建術について

著者: 田辺達三 ,   川上敏晃 ,   久保良彦 ,   太田里美 ,   横田旻 ,   橋本正人 ,   笹尚 ,   高橋透 ,   田村堅吾 ,   杉江三郎

ページ範囲:P.125 - P.130

はじめに
 下肢の慢性動脈閉塞に対する外科治療法としては今日,血栓内膜摘除術や血管置換またはバイパス移植術が行なわれ,少なくとも膝窩動脈より中枢側にある高位病変に対しては一応の成績があげられてきている.しかし膝窩動脈より末端側の低位病変にはかかる血行再建法は成功が難しいとされ,一般には広く応用されてはいない.
 膝窩動脈以下の低位閉塞はとくに本邦では血栓閉塞性血管炎と考えられる症例が多く,この疾患が末梢血管に多発することから,下肢慢性動脈閉塞の過半数を占めている.これらの症例は安静時疼痛,潰瘍または壊死形成,チアノーゼ変色,冷感,歩行障害などを主訴として来院し,足趾の救助のため治療が必要である.かかる場合一般には腰部交感神経節切除術が施行されているが,その治療成績は必ずしも確実なものではなく,一時的軽快に止まることが少なくない.

動脈瘤を伴つた外傷性上咽頭動静脈瘻の自然治癒例

著者: 儀藤洋治 ,   古和田正悦 ,   菅谷彪 ,   梅津武美

ページ範囲:P.131 - P.133

はじめに
 頭部に発生する外傷性動脈瘤や動静脈瘻は比較的まれであるが,とりわけ動脈瘤を伴つた動静脈瘻の報告例は,本邦では3例を見るにすぎない.最近,私達は外傷後2カ月で上咽頭動脈に動脈瘤と動静脈瘻が形成され,さらに発症後,6カ月で自然治癒をみた稀有な症例を経験したので,若干の文献考察を行ない報告する.

直腸細網肉腫の1例

著者: 泉二郎 ,   広野禎介 ,   日比輝彦 ,   村田勇 ,   北川正信

ページ範囲:P.135 - P.139

はじめに
 消化管に発生する細網肉腫は比較的まれな疾患とされており,そのうちでも,直腸に原発する細網肉腫は極めて少なく,本邦ではわずか4例が報告されているにすぎない.最近,われわれは,直腸癌の診断のもとに直腸切断術を行ない,術後の病理組織学的検索から,直腸細網肉腫と判明した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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