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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻11号

1974年11月発行

術前術後

手指消毒法の研究(Ⅰ)—特にHibiscrub,Hyamine-T,Isodine,phisoHexの連続洗浄法による効力検定

著者: 古橋正吉1 宮前卓之1 上田伊佐雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学手術部

ページ範囲:P.1337 - P.1344

文献概要

はじめに
 手指の外科的消毒法については,Fürbringer1)以来多くの研究がある.方法としてはブラシによる摩擦洗浄と消毒薬併用の方法が当初からひろく用いられてきた.その後,Domagk2)がZephirolを開発し化学的消毒法が重視され,その後も各種消毒薬が作られ手洗い時間の短縮が意図されて今日に至つている.いつぽう,皮膚消毒薬の実際的効力についてはPrice3)が連続ベースン洗浄法により手指細菌数の定量的研究を行ない,これは再現性のある実験として高く評価されている.わが国では,星4),小田5,6)らの好気性,偏性嫌気性皮膚細菌について詳細な研究があり,以後,各方面から臨床実験報告がある.これらの報告のいずれもが指摘していることは皮膚を摩擦洗浄または消毒しても細菌数を零とすることはできず,常在菌は必ず残り,手術用ゴム手袋の着用後はいつたん減少していた菌数が急激に増加する点である.このためPriceらはSkin Disinfection(皮膚消毒)よりもSkin Degermingの用語を用いることをすすめている.これは,皮膚の細菌数を手術実施に支障のない程度まで減少させることと定義している8).わが国では「皮膚消毒」を慣用しているが本質的な理解のもとに便宜上使用していると解釈したい.研究者によつては単に「術前手洗い」としている者もいる.ここでは慣例によつて皮膚消毒の語を用いることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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