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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻12号

1974年12月発行

文献概要

特集 一般外科医のための小児外科

臍帯ヘルニア

著者: 池田恵一1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1403 - P.1407

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Ⅰ.一見して診断可能である.しかしいろいろの型がある
 ここ10年来,新生児外科がさかんになり,今まで放置されていた新生児が救命されるようになつた.これらの救急手術を必要とする新生児は,生後48時間以内に発見して処置すれば予後が良好なことから,小児外科では生後48時間以内をgolden hourと称しているが,その診断法が普及していない為か,生後3〜4日を経過して来院するものも少なくない.これらのなかにあつて,視診だけで診断可能な疾患として,鎖肛と臍帯ヘルニアが挙げられる.しかし鎖肛は一見して外肛門括約筋が正常位に存在するものが多いためによく肛門部位を精査する必要があり,見誤つて生後3〜4日目に嘔吐が始まつて来院することが多い.これに比べ,臍帯ヘルニアは,腹壁中央部の極めて目立つた奇形であるため,出産直後あるいは出産中でも判明しうる疾患である.すなわち,一見して診断可能な唯一の疾患といえる.しかし,本症は新生児外科の進歩した今日でも30〜40%の死亡率があり,出産直後からの正しい治療法によつて初めて救命しうるものである.
 内臓が薄い膜(主に腹膜と羊膜)に被われて臍部から突出したものが臍帯ヘルニア(omphalocele)であるが,これにはいろいろの諸類があり発生原因も異なつている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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