文献詳細
手術手技
Z-plastyの手の外科における応用
著者: 三浦隆行1 中村蓼吾1 前田敬三1 木野義武1
所属機関: 1名古屋大学医学部分院整形外科
ページ範囲:P.235 - P.240
文献概要
1856年Denonvilliersの最初の報告以来すでに1世紀余にわたり形成外科の基本手技としてその手技の簡単なにもかかわらず主要な地位を占め続けているZ-plas—tyは,Davisの臨床的応用に関する一連の報告により広く普及されたといわれている.Z-plastyの基礎理論に関しては,Limberg4)5)によりつとに幾何学的な解明がおこなわれており,その平面幾何学的解析のみでなく,立体幾何学的な認識も近年Limberg5)6),Furnas1)らにより確立せられた.さらにこれら数学的期待値と生体における臨床効果との差異についてもFurnas2)らの研究がみられる.本邦においても倉田3),添田10),田島11),難波7)8)ら多くの発表がみられているのでZ-plastyの基礎理論に関しては簡単に触れるのにとどめ,本法の手の外科における応用を中心として述べてみたい.
Z-plastyの臨床的応用を考える場合,如何なる効果を期待して計画,立案をおこなうかがまず大切である.Z—plastyの臨床効果としてはいろいろのことが考えられているが,手の外科における機能を中心として考えれば, 1.距離延長の効果 2.縫合線の方向をかえることによる拘縮予防の効果 3.webをcleftにかえる立体的な効果 4.組織移動の効果を期待して手術計画をおこなつている,以下その各々について検討をおこなう.
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