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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻3号

1974年03月発行

特集 胃全剔

適応の吟味

適正な適応

著者: 井口潔1 脇田政康1 副島一彦1 三戸康郎1 川崎重義1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.311 - P.318

文献概要

はじめに
 胃癌における胃の全剔あるいは部分切除の目的は,剔出臓器の連続部分に癌を取り残さないということにある.従つて,主腫瘍の壁内浸潤の範囲の評価をどこにおくかによつて,胃全剔になるか,部分切除になるかが分れてくることになる.問題はその基準の決め方である.癌腫の肉眼的形態—限局型か,浸潤型か—によつて安全な腫瘍縁の幅を設定することは従来とられてきたところであるが,腫瘍縁の浸潤先進部の形態を詳細にみると,遠く浸潤しているものでは,連続性浸潤のことはむしろ少なくて,大部分はリンパ管内侵襲型であり,またこのことはその症例のリンパ節転移の有無,多寡と密接な関係のあることが判つた.このやうな立場から,われわれは胃切除線の決定は,「癌腫が限局型の場合には3cm以上,浸潤型の場合には6cm以上それぞれ肉眼的腫瘍口側線から離れたところで切断すると決め,胃所属リンパ節転移のみられる場合には,とくに,上述の辺縁距離の確保に留意するようにし,特に,小彎高位リンパ節が癌性に著しく腫大し,または胃壁に癌性に癒着しているときには,上述の辺縁距離が十分確保されている場合でも,胃全剔を考慮する」ということにしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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