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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻3号

1974年03月発行

特集 胃全剔

再建法とその成績

結腸挿入

著者: 篠田正昭1

所属機関: 1岐阜歯科大学外科

ページ範囲:P.333 - P.340

文献概要

はじめに
 胃全剔にともなう再建術式のうちで,もつとも優れた術式はどれかと問われれば,著者はその患者に一番適した術式を過去の経験からその都度えらび出すことだと考える.大きい胃袋をもつた日本人は消化器機能にも個人差が大きく,したがつて同一術式を採用することは無理だと思われる.結果としては摂食量が多く,しかも消化吸収の状態がよいことが必要条件である.そのためには通過障害や逆流性食道炎の発生しにくい術式が採用されることになる.現在までの外科の常識としては,食道と十二指腸の間を約25cm程はなすようなBillroth I法がよいとされ,そのために腸管の介置法がとられている.今回著者にあたえられた分担題目はそのうちの結腸を介在させる方法である.
 結腸挿入による再建術式としては,横行結腸の一部を有茎に移植するD'Errico(1950)1)16),Moroney(1951)1)15)の方法と,回盲部を移植するMarshall-Lee(1951)2)の方法がある.横行結腸移植法はSeo-Longmire(1948)1)による空腸挿入法とその意義を同じくする.すなわち食道十二指腸間に距離を保つて十二指腸液の食道内への逆流を防止し,あわせて小腸よりも貯溜能を大きくして摂食量を多くする目的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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