文献詳細
臨床報告
深部静脈閉塞を伴つた大腿膝窩動脈瘤の1治験例
著者: 前村大成1 井上賢二1 山本淳一1 畑野良侍1 児島徹2 田中和雄2
所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2立川第二相互病院外科
ページ範囲:P.413 - P.417
文献概要
下肢動脈瘤は高齢者に多くみられ,近年そのほとんどが動脈硬化性とされており,自然余命の延長に伴い本邦でも今後増加する疾患と考えられる.なかでも大腿動脈瘤はもつとも多くみられ,稲田ら1)による13例の下肢動脈瘤のうち11例,大原ら2)3)の32例中28例を占めている.他方,膝窩動脈瘤は大腿動脈瘤に次いで多いとはいえ,本邦ではその報告も少なく,上記の稲田らの13例中1例,大原らの32例中4例(総大腿—浅大腿—膝窩動脈瘤の2例を含む)にすぎない.
われわれは急速に増大したと思われる右大腿膝窩動脈瘤の圧迫により深部大腿膝窩静脈の血栓性閉塞を引きおこした症例に対し動脈瘤切除,動静脈血行再建術を行ない治癒せしめたのでこれを報告し,あわせて大腿膝窩動脈瘤ならびに膝窩動脈瘤の深在静脈に及ぼす影響につき文献的考察を行なつた4-26).
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