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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻4号

1974年04月発行

文献概要

特集 腹部緊急疾患におけるDo's & Don'ts

急性膵炎

著者: 水本龍二1

所属機関: 1京都大学医学部第1外科

ページ範囲:P.455 - P.458

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はじめに
 急性膵炎は激烈な疼痛を主徴とし,急速にshockに陥つて死の転帰をとるものがあり,急性腹症のなかでも特に注目されてきた疾患である.病因からみると胆石性膵炎とアルコール膵炎とが代表的なもので,症状や経過にそれぞれ特徴がある.その他少数例ながら家族性高脂血症,副甲状腺腫瘍,耳下腺炎や膵頭部腫瘍などに合併する膵炎があり,さらに術後膵炎はしばしば診断がおくれ死亡率が高く警戒を必要とする疾患である.
 急性膵炎は活性化した膵酵素の間質内逸脱によるchemical autolytic process,自己消化機転がその病態生理の本質をなすと考えられるが,その発生機序としては感染胆汁の膵管内逆流(common channel theory),膵管閉塞・膵外分泌刺激による膵管内圧の亢進(obstruction hypersecretion theory),あるいは十二指腸液の膵管内逆流(duodenal reflux theory)など膵管を介して膵実質の破綻をまねく機序が重視され,また局所血流の障害が容易に膵細胞を破壊することから動脈硬化症や糖尿病性昏睡あるいは術後に発生する膵炎では血管性要因が注目され,さらに膵滲出液により後腹膜神経叢が刺激されて膵炎を増悪せしめるという神経性要因が重視されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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