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文献詳細

雑誌文献

臨床外科29巻8号

1974年08月発行

カラーグラフ 臨床病理シリーズ・25

アメーバ赤痢の術中所見と病理像(Ⅰ)

著者: 松峯敬夫1 白川洋一1 松原修二1 青木幹雄2

所属機関: 1東京都立墨東病院外科 2東京都立墨東病院病理

ページ範囲:P.976 - P.977

文献概要

はじめに
 アメーバ赤痢は経口的にとり入れられたentamoeba histolyticaの大腸侵入,定着に始まり,時折肝に転移性の巨大膿瘍を合併する疾患であることはよく知られている.しかしアメーバ赤痢の多くは,ほとんど症状のみられない軽症型であるといわれており,穿孔(いわゆるfulm-inating type),出血,狭窄,アメボーマ(amebic granu-loma),アメーバ性虫垂炎,肝膿瘍等の外科的合併症をきたすことは比較的まれである.
 entamoeba histolyticaは栄養型として大腸粘膜に侵入すると,まず白血球浸潤の少ない壊死層を形成し,筋層が一種のbarrierとしてはたらくため,しばらくはそのまま留まつているが,粘膜筋板を穿通すると,崩壊・壊死が粘膜下層に急速に横に拡がり,粘膜が潰瘍縁に懸垂した典型的なflask typeの潰瘍が形成される.本来アメーバ赤痢の壊死巣は細胞反応に乏しいものであるが,この時期になると細菌による二次感染が加わり,白血球浸潤が著明となつてくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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