文献詳細
臨床報告
Vasculo-Behçet's Syndromeの2例
著者: 近藤肇彦1 西島早見1 古味信彦1 長田淳一2 安里哲時3
所属機関: 1徳島大学医学部第1外科 2徳島大学医学部第1内科 3徳島大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.1089 - P.1093
文献概要
Behçet病またはBehçet症候群は1937年トルコの皮膚科医Behçet1)が再発性のアフタ性口内炎,外陰部潰瘍および角膜ビラン,上鞏膜炎の眼症状を有する2症例を報告したのが最初である.その後1940年に彼自身が,アフタ性口内炎,外陰部潰瘍および虹彩炎をTriple Symptom Complexとした新しい独立疾患として発表したもので,最近,難治性疾患の1つとして注目を集めている.その後症例の増加に伴い,慢性経過中,増悪と寛解を繰り返す特徴が明らかにされ,また多種多様の全身的,系統的な病変を呈することが知られるようになつた.罹患臓器としてはmuco-cutaneo-ocularの領域に限らず,呼吸器系,中枢神経系,消化器系,循環器系などの病変があげられる2).これらのうち血管系に主な病変がみられるものは,Angio-Behçet's Syndrome3)またはVasculo-Behçet's Syndrome4)といわれているが,深部静脈の病変を呈するものは比較的少ない.最近私共は深部静脈の閉塞を伴つたVasculo-Behçet's Syndromeの2例を経験したので報告し,文献的考察を加えたい.
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