文献詳細
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文献概要
本病の紹介
この病氣は新しい病氣ではない. 然し稀な病氣である。日本に於ての報告を總ざらひしても,26例を越さないだらう。外國には遂に報告例が見當らない。私は前々(昭和12年頃)から,この病氣に縁を持つて注意して見て居たのであるが,どうも此頃殖えて來た様に思ふ。終戰後方々から紹介されて來ることが多いのである。この病氣はまだ正式に名前がついていないので,色々な名をつけられて,又は名なしのまゝ送られて來る。そればかりではない。この病氣の原困も解つていなければ,從つて治療法もない。もつとひどいことには,症状そのものすらほんとうには掴まれていない。即ち何も解つていない状態なのである。私はこの病氣の7例に關係した。そして各々詳細に觀察することにより色々新いことも發見したし,昔からの報告例とも對照してみて,一應症候學を完成出來たと思ふ。又病理,病源論等に關しても多少の新知見を加へ,且治療法にも色々の工夫を試みているので,多少意に滿たない處もあるけれど,不取敢今までの事をまとめて發表する次第である。
此疾患の理解の便宜上,其代表的な1例の病歴を掲げよう。
この病氣は新しい病氣ではない. 然し稀な病氣である。日本に於ての報告を總ざらひしても,26例を越さないだらう。外國には遂に報告例が見當らない。私は前々(昭和12年頃)から,この病氣に縁を持つて注意して見て居たのであるが,どうも此頃殖えて來た様に思ふ。終戰後方々から紹介されて來ることが多いのである。この病氣はまだ正式に名前がついていないので,色々な名をつけられて,又は名なしのまゝ送られて來る。そればかりではない。この病氣の原困も解つていなければ,從つて治療法もない。もつとひどいことには,症状そのものすらほんとうには掴まれていない。即ち何も解つていない状態なのである。私はこの病氣の7例に關係した。そして各々詳細に觀察することにより色々新いことも發見したし,昔からの報告例とも對照してみて,一應症候學を完成出來たと思ふ。又病理,病源論等に關しても多少の新知見を加へ,且治療法にも色々の工夫を試みているので,多少意に滿たない處もあるけれど,不取敢今までの事をまとめて發表する次第である。
此疾患の理解の便宜上,其代表的な1例の病歴を掲げよう。
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