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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻1号

1975年01月発行

特集 手の外科

手指切断創の治療

著者: 生田義和1

所属機関: 1広島大学医学部整形外科

ページ範囲:P.27 - P.35

文献概要

はじめに
 切断された手指に対する治療として,非常に稀な場合を除外して,長い間断端形成術がその主流であつた.しかし,1960年代に驚異的な進歩をとげたMicrovascular Surgeryの導入により,切断指再接着術が1970年代になつて急速に拡がりつつある.1974年9月16日に開かれた第1回マイクロサージャリー研究会において,切断指再接着の成功例を報告したのは北海道大学整形外科,新潟大学整形外科,慈恵医大形成外科,北里大学整形外科,河野臨研,名古屋大学分院整形外科,奈良医大整形外科,順天堂大整形外科,慶応大学整形外科,広島大学整形外科,山口労災病院整形外科,琉球大学整形外科等の多くのグループであつた.手術時間や予後の問題が残つているとはいうものの,再接着の可能性とその手術手技をマスターした外科医は急速な増加をたどつている.従つて,今後切断された手や指を持参した患者に対応する外科医は,従来の断端形成術の方法を考慮する以前に,まず再接着を試みるかあるいは試みることの出来る施設に患者を輸送するか,あるいは断端形成を行なうかの2つの大きな分岐点に立つべきである.いうまでもなく,再接着を試みるためには,切断された部分の血管縫合を成功させるだけの技術が必要であるが,再接着された手指の機能は,神経縫合,皮膚縫合,術後処置および機能訓練等の手の外科一般にわたる幅広い知織と技術によつて左右されることも知つておかなければならない,以上の観点から,本項では手指再接着の現状と,他施設に患者を輸送する場合の処置及び断端形成術について述べる.再接着術の詳細については他書を参考していただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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