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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻10号

1975年10月発行

特集 凍結外科—Cryosurgery

消化器領域におけるEndoscopic Cryosurgery

著者: 城所仂1 山崎忠光1 長浜徴1 横田広夫1

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器外科

ページ範囲:P.1225 - P.1231

文献概要

はじめに
 超低温の組織破壊作用を治療に応用しようとする試みは古くからあつたが,これが外科的な治療手段として確立されたのは,1961年Cooper1)らによつて始められたCryogenic Surgeryの報告からであるとされている.
 さて,凍結によつて生体に起こる組織壊死のmechanismは次のように2段階に分けて考えられている.その第1段階は超低温の直接作用,すなわち細胞内部の原形質,核等の凍結によつておこる細胞破壊の現象である2).第2段階は凍結終了後から続いて始まる血行障害のために徐々に進行して行く2次的な組織壊死の過程である3).われわれは胃壁の凍結実験において,microangiographyを用いて凍結後の経日的変化を追つたが,解凍直後においてほぼ正常数に戻つていた局所の微小血管像が,日数の経過につれて次第にまた数を減じて行くことをみている.この説明としては解凍後には一時再開通した血流も微小血管の血管壁の凍傷のために次第に血栓を形成するようになり,このような小さな血行障害が時間とともに増大して行くことによつて,局所に2次的な組織破壊が起こつてくるものと解釈される4).このように,ゆつくりと漸進的に組織の壊死脱落が進んでゆき,さらにまたある時期からは肉芽の再生がこれと平行して始まるために,出血の危険性が非常に少ないことと,疼痛も殆んどないことが特徴的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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