文献詳細
特集 凍結外科—Cryosurgery
悪性腫瘍に対するCryosurgeryの応用—その適応と限界
著者: 小川伸一郎1 金田浩一1 津屋旭1 内田正興2 牛腸広樹3 宇都宮譲二3
所属機関: 1癌研究会付属病院放射線科 2癌研究会付属病院耳鼻咽喉科 3東京医科歯科大学第2外科
ページ範囲:P.1237 - P.1243
文献概要
悪性腫瘍の第一次選択的治療が根治手術であることは今日の常識であるが,根治手術不能とされる症例についてのその治療法は複雑である.放射線科の特徴として,私たちは,このような症例を数多く扱つてきた.すなわち,これら根治手術不能例の悪性腫瘍の治療法は,局所療法としての放射線療法が中心であり,これに全身および局所制癌療法,および症例によつてはホルモン療法が補助的手段として利用されている.これらの治療法においては,放射線の照射線量,薬剤の投与量は正常組織への影響と腫瘍効果とのバランスの上にたつて決定されるものであり,現在までのところおのずとその限界が明らかになりつつある.
局所のより高い腫瘍効果を求めるために,私たちもこれまで各種の悪性腫瘍に対して放射線に併用して局所動脈内注入化学療法(以下動注法)を試みる等努力してきたが,残念ながら満足すべき結果を得ていない1-3).特に放射線や薬剤に著しく抵抗を示す腫瘍に対しては,甚だその治療に手を焼いた経験も少なくない.私たちは,このような症例や,放射線治療後に局所再発をきたした悪性腫瘍の症例を主な対象として,最近普及著しい凍結手術を約4年間にわたり試みてきた.そこで,これまでの症例を報告し,2,3反省を加えたい.
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