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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻10号

1975年10月発行

文献概要

Topics

欧米におけるCryosurgeryの動向

著者: 隅田幸男1

所属機関: 1国立福岡中央病院第4外科

ページ範囲:P.1265 - P.1268

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Cryosurgeryの誕生
 Cryosurgery(凍結外科)という言葉は新しくても,冷却による治療手段は決して新しくはない.エジプトのパピルスに記載され,ヒポクラテスも痛みを冷却して治し,ナポレオンの侍医Larrey男爵は雪と氷のロシア遠征で凍創になつた兵士の四肢切断が痛みもなく出血もなく行なわれると記載し,James Arnottは氷と食塩の混合液で乳癌を1851年に治療している.その後も,凍結温度による治療は雪状炭酸を用いて皮膚科の小疾患に限られて利用されていた.1907年にはすでに液体空気で皮膚癌の治療第1例が報告され,1917年には膀胱乳嘴腫や癌がドライアイスで治療されている.
 New YorkのSt. Barnabas病院の脳外科医,Irving I. Cooperは凍結治療用の器械を独自のアイデアで考案した.Cryoprobeがそれである.彼はパーキンソニスムその他の脳腫瘍を凍結して次々とすぐれた治療成績を報告した(1961年).Cryosurgeryという言葉が確立されてからは,この画期的な医術は米国というよりむしろヨーロッパで著しく発展した.特に泌尿器科領域への導入は早かつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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