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臨床報告
種々形態を異にした迷入膵の5例についで
著者: 遠藤正三郎1 磯本徹1 山本康久1 佐藤方紀1 小堀迪夫2 伊藤慈秀3 佐野開三3
所属機関: 1川崎医科大学佐野外科 2川崎医科大学内科 3川崎医科大学病理
ページ範囲:P.1349 - P.1354
文献購入ページに移動迷入膵とは,膵以外の部位で本来の膵と全く無関係に膵組織,膵基質あるいは膵胚芽が見出されるものをいい,一般に胎生期における発生学上の異常により生ずると考えられている.本症は比較的稀な疾患であるが,欧米では1729年Schulze1)により最初に報告され,本邦でも1895年山極の記載以来,報告例が増加している.しかし本症の多くは,臨床診断上特異な症状に欠け,外科領域では他の疾患の開腹時,偶然に発見されることが多いが,時には複雑な症状の発現により確定診断が困難なまま,開腹手術がなされることもある.われわれは,最近18年間に本症の5例を経験したのでこれを報告し,若干の文献的考察を加える.
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