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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻11号

1975年11月発行

特集 癌免疫と外科治療

Ⅱ.癌患者の免疫状態

著者: 折田薫三1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1385 - P.1391

文献概要

はじめに
 1902年Reed1)が進行したホジキン氏病ではツベルクリン反応が陰転していることをはじめて報告して以来,リンパ—網内系の腫瘍では細胞性免疫の低下していることが普遍的事項として知られている.比較的最近になり,非リンパ系の固型癌患者でも細胞性免疫が低下ないし障害を受けているという報告があいついでいる.発癌実験や種々の臨床的知見から,人においても細胞性免疫が発癌から腫瘍の増殖に重要なる役割を演じていることが次第に明らかとなり2-5),さらに近年,欧米を中心にメラノーム,白血病などで免疫療法の有効なことが確認されるにおよび,癌と免疫,癌の免疫療法が世界的規模でのテーマとなつている.他方,液性抗体については異論もあるが,慢性リンパ性白血病,リンパ肉腫,多発性骨髄腫のようなリンパ—網内系あるいは骨髄系の腫瘍では特に一次抗体産生能が低下しているが,これら以外の悪性腫瘍では一般に,末期に至るまで抗体産生能は比較的良く保たれている6-9),周知のごとく免疫系は大きく細胞性免疫と液性免疫に二分され,前者は胸腺依存性のTリンパ球,後者はFabricus嚢依存のBリンパ球が中心となつている.後者のB細胞が形質細胞となつて液性抗体を産生するわけであるが,抗原の種類によつてはB細胞単独でこれに対する抗体を産生しうるが,多くはT細胞(helper T-cell)の力を借りて抗体を産生する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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