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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻11号

1975年11月発行

文献概要

特集 癌免疫と外科治療 Ⅳ.癌免疫療法の実際

いわゆる免疫化学療法—溶連菌製剤:ピシバニール,蛋白多糖体:PS-K,嫌気性菌:コリネバクテリウム

著者: 小川一誠1

所属機関: 1愛知県がんセンター第2内科

ページ範囲:P.1421 - P.1426

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はじめに
 現在の癌化学療法においては,実験的または臨床的な知識を基礎にして,有効な薬剤を選択し,さらにそれらを組み合わせる併用療法により,急性白血病,悪性リンパ腫においては80%以上の症例に寛解がえられ,また,肺癌,胃癌,腸癌等の固形腫瘍においても約半数の症例に腫瘍の50%以上の縮小を認める成績がえられている.しかし,これら腫瘍細胞の"total kill"を目指す治療方法にも限界があり,腫瘍効果がそのまま生命延長に必ずしも反映されず,治癒に到らしめる過程にはいまだ解決せねばならぬ困難な問題が山積しているのが現状である.化学療法の方式は上に示されるごとく,強力な薬剤を用いての寛解導入,そして寛解維持療法,あるいは強化療法が用いられているが,それに用いられる薬剤の欠点は,生体免疫機能を低下させることであり,また腫瘍細胞の薬剤に対する耐性発現が生じてくることである.それ故に,近年注目されているのが,減少させた腫瘍細胞を生体の免疫機能を高めて,増殖を抑制,または死滅させようとする概念に基づく免疫療法である.このような研究の端緒となつたのは,Mathé1)らによる急性リンパ性白血病に対ずるBCG療法であり,以後いろいろの薬剤が主として,非特異的に免疫機能賦活をするために研究されている.本稿では,BCGを除く本邦において開発され研究されている,ピシバニール,PS-K,コリネバクテリウムに関して概要を述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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