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特集 脳卒中の外科
診断と手術適応—脳循環動態の面より
著者: 伊藤善太郎1
所属機関: 1秋田県立脳血管研究所脳神経外科学研究部門
ページ範囲:P.1543 - P.1551
文献購入ページに移動はじめに
脳血管障害は本邦死亡原因の第1位を占め続けてきた疾患であり,過去においてはあきらめの代表疾患であつた.しかし近年の診断技術,脳神経外科学などの進歩により適確な診断と治療成績の向上がなされてきた.従来,発病すれば絶対安静のみが治療の原則であつたが,近年,脳卒中早期患者の移送が比較的安全であり,しかるべき入院治療が有利であることが立証された6,8結果,入院加療をうける患者が増加しつつある.このような状況の変化は,脳神経外科医または神経内科医などの専門医以外の第一線医家が新鮮な脳卒中症例を診る機会を一層増加せしめると予想され,急性期における手術適応や時期を総括的にも知ることを要求されているともいえよう.
さて,脳血管障害の外科的治療において手術適応を決定する因子はさまざまであるが,脳の機能と代謝が脳循環に大きく依存していることからも,脳循環動態の検索結果が,特に重要な1指標になるということができよう.そこで,著者症例を中心に,外科的対象疾患と考えられる破裂脳動脈瘤,内頸動脈および中大脳動脈閉塞症および高血圧性脳出血において,主として脳循環動態よりみた手術適応または時期の選定について述べることにする.
脳血管障害は本邦死亡原因の第1位を占め続けてきた疾患であり,過去においてはあきらめの代表疾患であつた.しかし近年の診断技術,脳神経外科学などの進歩により適確な診断と治療成績の向上がなされてきた.従来,発病すれば絶対安静のみが治療の原則であつたが,近年,脳卒中早期患者の移送が比較的安全であり,しかるべき入院治療が有利であることが立証された6,8結果,入院加療をうける患者が増加しつつある.このような状況の変化は,脳神経外科医または神経内科医などの専門医以外の第一線医家が新鮮な脳卒中症例を診る機会を一層増加せしめると予想され,急性期における手術適応や時期を総括的にも知ることを要求されているともいえよう.
さて,脳血管障害の外科的治療において手術適応を決定する因子はさまざまであるが,脳の機能と代謝が脳循環に大きく依存していることからも,脳循環動態の検索結果が,特に重要な1指標になるということができよう.そこで,著者症例を中心に,外科的対象疾患と考えられる破裂脳動脈瘤,内頸動脈および中大脳動脈閉塞症および高血圧性脳出血において,主として脳循環動態よりみた手術適応または時期の選定について述べることにする.
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