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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻12号

1975年12月発行

特集 脳卒中の外科

治療の進歩

高血圧性脳内出血—大脳基底核部出血を中心として

著者: 鈴木二郎1 奥平欣伸1 佐藤智彦1

所属機関: 1東北大学医学部脳研脳神経外科

ページ範囲:P.1553 - P.1558

文献概要

はじめに
 脳卒中の主要原因である高血圧性脳内出血はわが国はもちろんのこと世界各国においても国民死亡率の上位を占める疾患である.
 この外科的治療に関しては1903年HarveyCushing以来その成績は悪く,もはや外科的治療の適応になるべきものではないとする考えも多く5)9),また最近積極的に手術を行なつている人々でもその入院中死亡率は30%から50%10)12)であるため一般に特に内科医は外科的治療に対してまだ批判的でさえある.そのうえ内科医をはじめとする多くの人々は既に脳の重要な部分が血腫によつて破壊されているうえに外科的にそれをとりだすためには貴重な残存脳実質を切開し深部に進入しなければならず,従つてさらに新たな脳損傷を加えなければならず,そうであるならば血腫の自然吸収を待った方がよく外科手術はむしろ無謀であるとする考えを持つているのである.しからば脳中心部の血腫だけを新しく脳を損傷しないようにしてとりだす方法はないかということになるわけである.高血圧性脳内出血の70%14)17)は何故か大脳半球内包付近に発生するが,この部は解剖学的にみると両側大脳裂という大きな深い脳溝の底部に近く,その大脳裂を分けていけば島皮質に達し,その直下に外包そして内包が存在するのであり,島皮質に小切開を加えるだけで脳損傷を最小限にして血腫に到達することができるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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