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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻12号

1975年12月発行

文献概要

特集 脳卒中の外科 治療の進歩

脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血

著者: 佐野圭司1

所属機関: 1東京大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1567 - P.1575

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はじめに
 脳動脈瘤の破裂がクモ膜下出血のもつとも大きな原因をなしていることは周知の事実である.たとえば1958年から1965年にかけて米国で行なわれたクモ膜下出血の合同調査4)(cooperativestudy of intracranial aneurysms and subarac-hnoid hemorrhage)では5,831例のクモ膜下出血症例の51%に動脈瘤が見出されたというし,ヘルシンキのBjörkesten2)の教室の統計ではクモ膜下出血の患者は左,右の頸動脈,椎骨動脈の血管撮影を行なつたところ,75%に動脈瘤が発見されたという.
 しかも前記米国の調査結果によれば,保存的治療では脳動脈瘤の約70%は結局出血を反覆して死亡してしまうという(この中には再出血のみでなく,血管攣縮による脳乏血,脳硬塞も含まれていると思われるが).すなわち破裂した脳動脈瘤はたとえ初回の出血発作で死亡しなくても,やがて再出血していのちとりとなる時限爆弾のようなものであり,脳卒中をおこす諸病変のなかで完全に脳神経外科的治療の対象となると考えられているものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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