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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻12号

1975年12月発行

文献概要

特集 脳卒中の外科 治療の進歩

脳血管攣縮とその対策

著者: 千ヶ崎裕夫1 宮岡誠1

所属機関: 1順天堂大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1593 - P.1600

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はじめに
 脳血管攣縮(vasospasm)は,まれに脳挫傷,髄膜炎,あるいはWillis動脈輪付近の手術操作後などにみられることもあるが,ほとんどはクモ膜下出血後,とくに脳動脈瘤破裂後に発生する,脳血管写上の一過性であるが,かなり長期にわたる脳底部の大きな動脈を中心にした病的動脈狭細像をいう.諸家の報告によると脳動脈破裂後の12〜46%の高頻度にみられるという.
 今日脳動脈瘤の手術治療成績はmicrosurgeryを中心にした手術手技の改良により画期的進歩をきたし,発作直後の高度の意識障害を発現するような重症例を除けば,ほぼ満足すべきものといつてよい.しかしさらに厳密に評価するならば,完全に近い手術手技にもかかわらず,破裂後2週以後の手術死亡率がほとんど0に近い好成績に比べて,急性期(10日以内)は諸家によつてなお10〜30%の手術死亡率を示している.この著しい差は発作直後の重篤な意識障害を示す症例(このような症例に手術適応は一般にないとされているが)を除けば,時期を同じくして発生する脳血管攣縮による乏血状態が予後を不良にしている最大の因子であると説明されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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