文献詳細
文献概要
特集 ショック治療の新しい考え方
ショックの輸血・輸液—当直中に遭遇したとの仮定の下に
著者: 長谷川博1
所属機関: 1国立がんセンター外科
ページ範囲:P.147 - P.152
文献購入ページに移動はじめに
はじめにお断わりしておきたいことは,著者自身は今までショックに関する研究を全く行なつたことがないという点である.加うるに著者はショックに関する文献を数えるほどしか読んでいない.つまり著者はショック嫌いである.それにも拘わらず今回ショック治療の最も重要な項目であるこのテーマの執筆を依頼されたことは何故であろうか.それは恐らく筆者が永年輸液とか電解質・酸塩基平衡に興味をもち,拙文をいくつかものにし,かつ現在なお臨床の第一線で体液異常の患者に接しているという点を編集委員の方がお考え下さつたからであろうと考えている.著者の強みを強いていえば,データに関する広義の測定誤差について,採血から測定に到るまで,一応徹底的な検討を自分自身で加えた経験があるというだけである.そのほかは,がんセンターという,或る意味では体液失調の宝庫のような施設で過去12年間,各科のへだてなくお座敷がかかり,その度毎に自分なりに最大の熱意を傾けて自ら採血し,導尿し,伝票を書き,優秀な検査設備で迅速正確に測つて貰い,これを直ちに利用して新しい方針を組みなおし,さらにその結果を再び採血,導尿…してfeed back式に患者の治療に利用してきただけである.このfeed backのcycleは早いときには1時間単位であり,自分で要点だと思うものは夜でも自分で測れる—但し技術的に幼稚なものだけであるが—というのが多少の強味といえば強味であろう.
そこで本稿では,当直をしていたらショックまたはその疑いの患者が出たという想定の下に著者ならば差し当りこうし,翌朝こうするということだけを申し述べて,せめてもの責を果たさせて頂こうと考える次第である.つまり野戦病院レベルのショックの輸血輸液とお考え頂きたい.
はじめにお断わりしておきたいことは,著者自身は今までショックに関する研究を全く行なつたことがないという点である.加うるに著者はショックに関する文献を数えるほどしか読んでいない.つまり著者はショック嫌いである.それにも拘わらず今回ショック治療の最も重要な項目であるこのテーマの執筆を依頼されたことは何故であろうか.それは恐らく筆者が永年輸液とか電解質・酸塩基平衡に興味をもち,拙文をいくつかものにし,かつ現在なお臨床の第一線で体液異常の患者に接しているという点を編集委員の方がお考え下さつたからであろうと考えている.著者の強みを強いていえば,データに関する広義の測定誤差について,採血から測定に到るまで,一応徹底的な検討を自分自身で加えた経験があるというだけである.そのほかは,がんセンターという,或る意味では体液失調の宝庫のような施設で過去12年間,各科のへだてなくお座敷がかかり,その度毎に自分なりに最大の熱意を傾けて自ら採血し,導尿し,伝票を書き,優秀な検査設備で迅速正確に測つて貰い,これを直ちに利用して新しい方針を組みなおし,さらにその結果を再び採血,導尿…してfeed back式に患者の治療に利用してきただけである.このfeed backのcycleは早いときには1時間単位であり,自分で要点だと思うものは夜でも自分で測れる—但し技術的に幼稚なものだけであるが—というのが多少の強味といえば強味であろう.
そこで本稿では,当直をしていたらショックまたはその疑いの患者が出たという想定の下に著者ならば差し当りこうし,翌朝こうするということだけを申し述べて,せめてもの責を果たさせて頂こうと考える次第である.つまり野戦病院レベルのショックの輸血輸液とお考え頂きたい.
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