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特集 閉塞性黄疸
閉塞性黄疸と手術のRisk
著者: 羽生富士夫1 高田忠敬1 浜野恭一1 中村光司1 高崎健1 内田泰彦1
所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター
ページ範囲:P.305 - P.310
文献購入ページに移動閉塞性黄疸の外科治療は,麻酔,術前後の管理の向上にもかかわらず,なおその成績は芳しいものとは言えない.
特に悪性疾患においては,癌占居部位によつて外科的approachが困難なこと,及びほとんどの症例が高度の黄疸を有し,いわゆるpoor riskの症例が多いのでなお一層外科治療成績は悪いものとなつている.これら高度黄疸例においては,血中や各組織に沈着した多量の胆汁色素の有害作用により肝機能障害,消化吸収能低下のみならず,消化管出血や腎不全などの重篤な合併症をもたらすことがよく知られている1-9).故に,閉塞性黄疸を早期に鑑別し,かつ速やかな黄疸軽減をはかることが,この領域の外科治療上最も重要なポイントとなる.しかしいわゆる重症黄疸においては,単なる姑息的な減黄手術でさえもその手術を契機に重篤な合併症をもたらし,失つてしまうことも多々あることで,黄疸と手術侵襲,手術適応について多くの検討がなされている10-14).
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