icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻4号

1975年04月発行

文献概要

特集 腹部外科のPhysical Signs

急性腹症の触診のコツ

著者: 秋田八年1 迫田晃郎1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2外科

ページ範囲:P.423 - P.426

文献購入ページに移動
はじめに
 急性腹症は急激に起こる腹痛を主徴とし,腹腔臓器の破裂,穿孔,急性炎症,通過障害,血行障害とこれらに伴う限局性あるいは汎発性の腹膜の反応が包括される.そしてこれに対し迅速,積極的な外科的対応が要求される.従来ややもすれば安易に"急性腹症"の診断をつけ開腹を急ぐのあまり真の診断への努力が忘れられがちであるが,これは慎しまねばならない.
 診断には少なくとも病歴聴取,診察,臨床検査,X線検査など駆使し全智を投入する習慣が大切である.すぐ病変部の触診から始めるが如きは賢明な方法ではない.本項では与えられた命題に従って触診を主として述べるが視診,打診,聴診などの他の理学的所見とその総合的解析と判断が一層重要であることを強調しておきたい.例えば胃十二指腸潰瘍の穿孔が疑われるとき病歴に潰瘍症状が潜在したり,腹痛がいつ,どの部位にどんな状態で始まつたか,疼痛発現の模様と程度の聴取の資料は診断に極めて重要な示唆を与える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?