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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻4号

1975年04月発行

文献概要

外科医のための生理学

胃—運動の生理

著者: 田中直樹1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学長尾外科

ページ範囲:P.473 - P.475

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 1.胃運動の2つの型 第1図は,よく引用されているCode1)のものであるが,人の胃の運動を3つの型に分類している.しかしよく見ると,このうちtype Iはtype IIの波の小さなものに見える.またtype IIIは,実は曲線のうちの基線の隆起部分を指すので,一般には,胃の運動はtype II 1つであると考えても誤りとはいえない.これが胃の蠕動であり,1分間に3個程度発生することから,20秒波とも呼ばれる.そして,これが輪状筋の収縮を示すことには異論がない.
 ところでCodeのいうtype IIIとは何を意味するのであろうか.著者らもかつて胃の興奮の強い時にこれを認めて,tonusの変動と考えていた.しかし最近の,犬胃におけるストレンゲージ法の記録によると,胃を筋層により3つに分けた場合(第2図),下の2つの領域すなわち斜走筋領域と輪状筋領域においては,type II型の収縮が認められるが,上の2つすなわち環状筋領域と斜走筋領域(ここだけは2つの波がダブル)では,蠕動波よりはるかにおそい収縮が認められているのである.これがCodeのtype IIIと全く同じかどうかは別としても,環状筋と斜走筋が走行からいって極めて近い関係にあることと,斜走筋領域のみが外縦,中輪内斜の3層構造をもつことと考え合わせると,このおそい収縮は斜走筋のもののようにも思われてくる.しかし,この収縮に関連した活動電位はまだ記録されない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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