文献詳細
文献概要
臨床報告
腸球菌性腹膜炎
著者: 庄達夫1 中島和雄1 山本泰久1 岡島邦雄1
所属機関: 1岡山大学医学部第1外科
ページ範囲:P.609 - P.611
文献購入ページに移動日常しばしば遭遇する急性腹膜炎の大部分はその原因が明らかなものであるが,腹膜炎のうち3〜4%は原発,巣が不明で,診断が困難ないわゆる原発性腹膜炎がある.われわれは原発巣不明な腸球菌,すなわち,enterococcusによる非穿孔性の腹膜炎を1例経験し治癒せしめえたので報告する.
腸球菌は1886年Escherichが新生児胎糞および健康乳児の糞便中に卵円形の球菌を発見して以来,諸学者により種々の名称で呼ばれていたが,1899年Thiercelinによつて初めてenterococcusと命名された.本菌による腹膜炎の報告は1907年Jehle1)が最初に行ない,わが国では1933年伊藤2)によるものが初めてであるが,以来文献上本邦では10例をでない.
掲載誌情報