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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻6号

1975年06月発行

文献概要

特集 乳癌—最近の趨勢

根治術後の機能障害

著者: 久保完治1

所属機関: 1国立名古屋病院外科

ページ範囲:P.677 - P.682

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はじめに
 乳癌の特有な進展形式の形態学的な解明が進むとともに,その根治手術の方式も逐次改善され,治療成績の向上に資してきた.他面,このように徹底した手術に伴う,患者に対する肉体的・精神的な侵襲は次第に大きくなり,その面に対する積極的な配慮の必要性が近時とくに痛感されるようになつてきた.すなわち「良薬は口に苦し」としてきた外科医の立場は"quality of survival"を考える方向に進みつつあるのが現状であろう.
 これは,最近,医療の専門分化がすすみ,患者の"total care"の面で欠けるところがでてきたことにも関連があるであろう.診断,治療に術後管理を含め,一貫した体系下での乳癌患者のcareの重要性が認識されてきた.もちろん,はなはだ広範な領域なので,ひとり外科医のよくするところではない.乳癌術後の問題に限つても,肉体的,精神的,家庭的,社会的,性的あらゆる領野にわたつて問題が多い.他の専門領域の医師,ソーシャルワーカー(MSWおよびPSW),理学療法士(PT),職能訓練士(OT),看護婦など多くのスタッフの協力が要請されるところである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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