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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻6号

1975年06月発行

文献概要

特集 乳癌—最近の趨勢

術後遠隔成績—特に手術術式の検討

著者: 久野敬二郎1 深見敦夫1 堀雅晴1 大橋一郎1

所属機関: 1癌研究会附属病院外科

ページ範囲:P.685 - P.692

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はじめに
 乳癌は各種臓器の癌のなかでは治療成績のよいものの1つである.早期発見もしやすい筈である.しかし現在でもかなり進行した症例が多く,したがつて治療成績も満足すべき状態ではない.日本は欧米諸国よりは乳癌は少なく,また悪性度もやや低く,治療成績もよいのではないかと思われるが,将来は日本においても乳癌は増加し,悪性度も高くなることが予想される.乳癌の治療は,手術療法が主体であり,これに照射療法,内分泌療法,化学療法などが合併して行なわれることがある.手術療法は19世紀の終りにHalstedやMeyerにより始められたstandard radicalmastectomyが乳癌の基本的手術として広く行なわれ,Haagensenはこれをより完全な手術とした.われわれも定型的乳房切断術を乳癌に対するもつともよい手術として大多数の症例に行なつてきた.しかし胸骨旁リンパ節が乳腺の1次のリンパ節であり,これにしばしば転移することが明らかになつたので,胸骨旁リンパ節を郭清する拡大手術も行なうようになり.また少数例ではあるが鎖骨上窩郭清も試みた.
 定型的乳房切断術から拡大手術へと移る傾向が過去にあつた一方では,逆に縮小手術による治療成績の報告が多く見られるようになり,現在では術式の選択の問題はやや混乱した状態にあるといえる.この問題の解決は手術症例の予後を検討することによつてのみ達せられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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