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臨床報告
重症肝破裂を伴つた肝後面下大静脈破裂(traumatic rupture of retrohepatic vena cava)の1手術治験例—本邦第1例
著者: 高見博1 伊藤隆雄1 前中由己1 森下幹人1 安藤暢敏1 影山隆久1 須藤政彦1
所属機関: 1済生会神奈川県病院 神奈川県交通救急センター外科
ページ範囲:P.749 - P.752
文献購入ページに移動下大静脈損傷は死亡率の高い損傷であるが,とくに肝後面部における損傷retrohepatic vena cava injuryはきわめて重篤であり,本邦においては未だその治験例の報告をみない.欧米においても救命例は少なく,中でも交通災害などの鈍的外力による本損傷の治験例は,本損傷と同じ取扱いを受ける肝静脈損傷例を含めてもまだ数例に過ぎない.1965年8月1日,神奈川県交通救急センター発足以来,1973年7月31日に至る8年間に重症肝破裂を伴つた肝後面下大静脈破裂の2例を経験した.いずれも歩行者事故の女児例で,その第1例は術中出血死したが,最近の第2例を救命し得たので報告し,文献的考察を行なう.
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