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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻7号

1975年07月発行

臨床報告

乳房Paget病の4例

著者: 渋谷智顕1 堀部廉1 高井清一1 三輪勝1 伊藤隆夫1 名和正1 田中千凱1 島田脩1 加地秀樹2

所属機関: 1岐阜市民病院外科 2岐阜市民病院病理検査部

ページ範囲:P.919 - P.924

文献概要

はじめに
 1840年にVelpeauは乳頭の湿疹様病変が長い経過を経て表皮の破壊を起こす疾患をPaget病と呼んだのが本疾患の最初の記載である1).1874年にJames Pa-get2)は乳頭および乳輪の慢性湿疹様皮膚変化が存在すると乳腺に癌腫が発生する症例を報告し,乳頭の湿疹様変化と乳腺の癌腫と密接な関係のあることを初めて報告した.以後,乳房Paget病は一つの特異な病型として認められ,今日までPaget病と呼ばれている.その本態についても病理組織学的に種々の議論はあつたが,今日ではほぼ一定の結論に達しており,Paget病は乳管癌の乳頭表皮内への浸潤であるとの結論に達している.しかしながら本病が臨床的ならびに病理組織学的に,きわめて特異な像を示すことから,その定義および治療方針については研究者により考え方の違いもあり,また臨床的にその診断が困難で,乳頭の単なる皮膚疾患として取り扱われることが多く,種々の問題を含んでいる.わが国では病理組織学的に管外浸潤の著しいtype,即ち臨床的に乳腺腫瘤を伴うものを乳房Paget病から除き別個に取り扱う傾向があるが,われわれは乳腺腫瘤を伴う型も乳房Paget病に含めて論ずることにした.
 今回われわれは1964年から1973年までの最近10年間に乳癌患者115例を取り扱い,乳房Paget病4例を経験したので,通常型乳癌と比較検討し,若干の文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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