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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻8号

1975年08月発行

文献概要

特集 消化管の創傷治癒

創傷治癒の生化学の進歩

著者: 毛利喜久男12

所属機関: 1関西医科大学香里病院外科 2京都大学医学部第2外科

ページ範囲:P.983 - P.988

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はじめに
 創傷治癒は外科領域における重要な問題である.これには年齢差,性別等の個体による差,さらに創傷の種類による差,創傷の状態(開放創,閉鎖創等)に基づく差,感染の有無等,さらに基礎疾患が存在するか否かによる差,等の点が検討され,創傷治癒の際に考慮されなければならない.しかしこれらの点について十分な配慮が配られ,さらに創面に感染が認められない場合においても,創面哆開がおこる場合がある.当然のことながら創傷治癒には各種の生体内因子が関与していると考えられ,今日まで多くの研究が発表されてきた.とくに生体内の蛋白性物質,コラーゲン,コラーゲン蛋白,酸性ムコ多糖類,中性脂肪体,線維芽細胞等を注目した研究者も多い.これらの物質を測定し,創傷治癒の生化学的変化および動態を観察した報告もみられる.外科領域における手術の現況をみると,貧血がなければ手術の際補充する物質として血漿,アルブミンおよびグロブリン等が使用されている.近代化学工業の進歩により,生物製剤としての血漿,アルブミン,グロブリン以外にも,さらには凝固因子としてのフィブリノーゲン,Faktor II,VII,IX,X等が精製され,臨床的にも患者に使用しうる状態になつている.その他,最近,凝固因子としてのFaktor XIIIが注目されてきた1).Thiesおよびその共同研究者2),またGieharkeおよびその共同研究者は3),手術患者の術後手術創縫合不全,あるいは手術創治癒障害の発現にFaktor XIIIの欠乏が関与していると報告している.本稿においては,このFaktor XIIIに着目し,臨床的および実験的に手術前後のFaktor XIIIの値を測定,追求し,Faktor XIIIと創傷治癒との関係を検討してみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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