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臨床報告
脳膿瘍20例の検討
著者: 吉本尚規1 梶川博1 井口孝彦1 鮄川哲二1 宮崎正毅1 島健1 日比野弘道1 石川進1 魚住徹1 児玉求2 土肥雪彦2
所属機関: 1広島大学医学部脳神経外科 2広島大学医学部脳神経第2外科
ページ範囲:P.1061 - P.1066
文献購入ページに移動脳膿瘍は,頭蓋内占拠性病変が疑われる症例では常に考慮されるべき疾患であるが,脳腫瘍に比して頻度も低く,必ずしも炎症所見を伴つていないこともあつて,脳腫瘍と診断される事が多く,一義的に脳膿瘍と診断される症例はむしろ少ない様に思われる.しかしながら脳膿瘍の治療方法および予後は脳腫瘍と本質的に異つており,今後とも術前診断率向上のための努力がなされねばならない.
今回われわれは,広島大学第2外科教室(現在の主任,江崎治夫教授)で,1959年から1974年(11月)までの約15年間に扱つた20症例の臨床症状,検査所見,治療方法等を分析し検討したので,若干の文献的考察を加えて報告する.これら20症例のうち,はじめの6例については既に教室の中島ら1)によつて詳細な検討がなされているが,今回はこの6例も含めて対象とした.
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