文献詳細
特集 縫合法—反省と再検討
文献概要
はじめに
外傷による裂創,割創の処置はもとより,手術の仕上げとしても,正しい皮膚縫合手技の重要性はいうまでもない.しかし,一方,「治りさえすれば良い」という安易な気持から,皮膚縫合手技に対する外科医の関心が薄いことも残念ながら事実である.頭部の皮膚縫合も原理的には身体他部と同様であるが,ただ頭皮は硬く,皮下脂肪組織がなく,その代りにgaleaが存在する一方,頭髪という創傷の治癒を妨げるものも存在し,かつ前額部のように,患者の美容上重要な部位も含まれているので,頭皮の解剖をよく理解し,さらに患者の立場に立つての皮膚縫合でなければならない.交通事故による頭部外傷を扱う機会が救急指定を持つ実地外科医に多くなつている現今,本稿がこれら外科医のみならず,患者の役にも立つことを念頭におきつつ,一般外科領域と異なる点を解説することとする.
外傷による裂創,割創の処置はもとより,手術の仕上げとしても,正しい皮膚縫合手技の重要性はいうまでもない.しかし,一方,「治りさえすれば良い」という安易な気持から,皮膚縫合手技に対する外科医の関心が薄いことも残念ながら事実である.頭部の皮膚縫合も原理的には身体他部と同様であるが,ただ頭皮は硬く,皮下脂肪組織がなく,その代りにgaleaが存在する一方,頭髪という創傷の治癒を妨げるものも存在し,かつ前額部のように,患者の美容上重要な部位も含まれているので,頭皮の解剖をよく理解し,さらに患者の立場に立つての皮膚縫合でなければならない.交通事故による頭部外傷を扱う機会が救急指定を持つ実地外科医に多くなつている現今,本稿がこれら外科医のみならず,患者の役にも立つことを念頭におきつつ,一般外科領域と異なる点を解説することとする.
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