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臨床研究
ACD保存血液による体外循環
著者: 岡本好史1 松田光彦1 林真1 西村和典1 渡辺裕1
所属機関: 1大津赤十字病院外科
ページ範囲:P.1149 - P.1153
文献購入ページに移動近年,心臓,大血管手術の成績の向上は目ざましい.これは手術手技の長足の進歩によるものであるが,一方人工心肺による体外循環法の普及,安全性にも負うところが大きい.体外循環には新鮮ヘパリン血が最良であるが,入手が容易ではなく,またしばしば遭遇する緊急手術にも難点がある.これらの対策として,人工心肺装置の小型化,無血充填あるいは稀釈体外循環法が試みられてきた.われわれはACD保存血を体外循環に応用することにより心臓外科の普及をさらに発展させるため検討を重ね,1967年より臨床に使用してきた.
1941年,LoutitらがACD抗凝固剤を完成し,血液の保存を可能にし輸血学は多大な発展をとげた.しかしながら大量の保存血を使用する場合は問題がある.現在の保存血の有効期間は21日と短かく,この間にpHの低下,高カリウム血症,保存による溶血,血小板数の減少,あるいは種々の凝固因子の変動が各保存日数に応じてみられる.
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