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文献詳細

雑誌文献

臨床外科30巻9号

1975年09月発行

臨床研究

術後一過性に上昇する血清amylaseについて—isoenzyme分析の結果を中心として

著者: 池永達雄1 樋上駿1 秋山洋1 林幸子23 原田紀久子23 北村元仕23

所属機関: 1虎の門病院消化器外科 2虎の門病院臨床化学検査部 3沖中記念成人病研究所

ページ範囲:P.1155 - P.1160

文献概要

はじめに
 今までわれわれは手術後に血清amylase活性の上昇を認めると,直ちに術後膵炎と診断し,治療してきた.行なわれた手術が胆道系のものであつたり,さらに直接膵に侵襲の加わつた手術であつた場合には,なおさら術後の血清amylase活性の上昇は,術後急性膵炎として心配されてきた.しかしながら手術患者の血清amylase活性を丹念に追跡すると,正常値の上限を越えて上昇する症例はかなり多く,しかも血清amylase活性値が高値を示した症例でも,そのほとんどが急性膵炎の症状を示さず,膵炎に対する特別な治療を行なわなくても術後経過に異常はなく,高値を示していた血清amylase値もほどなく正常域に戻つてくるという事実のあることがわかつた.そして高値を示した血清amylaseのisoen-zyme分画像を検索すると,その大多数の症例において膵由来でないamylaseの増量していることが示され,術後に血清amylase活性が上昇しても,直ちに術後膵炎とは即断できないことを知つた.この興味深い事実をわれわれはすでに2,3の機会に発表してきたが1-3),今回はその後の症例を含め,得られた知見をまとめて考察を加えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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