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臨床報告
外傷性腹部大動脈・下大静脈瘻の1治験例
著者: 松本和久1 古賀保範1 馬場尚道1 内田象之1 中田俊則1 岩本勲1 前田隆美1 川嶋望1 藤井秀治2
所属機関: 1国立長崎中央病院外科 2国立長崎中央病院病理
ページ範囲:P.1353 - P.1357
文献購入ページに移動腹部大動脈・下大静脈瘻を伴つた大動脈瘤は,1931年にSymeがSyphilitic aorto-caval fistulaを報告1)して以来,極めてまれな疾患とされ,1935年,Lehmanが梅毒性腹部大動脈・下大静脈瘻の手術を行なつたが,術後,15時間目に出血のため死亡させている2).1945年にいたり,Barkerが外傷性大動脈・下大静脈瘻の手術を試み,世界で初めての手術成功例として報告した3).以来,欧米で約80例,本邦で4例の症例が紹介されている.このうち,外傷性腹部大動脈・下大静脈瘻については,欧米では約10例の報告をみるが,本邦ではその例を見ないようである.著者らは,外傷性腹部大動脈瘻に続発したと推定される「腹部大動脈・下大静脈瘻」を経験し,手術により治癒せしめたので,文献的考察を加えて報告する.
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