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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻12号

1976年12月発行

文献概要

特集 胆道手術後の困難症

黄疸を伴つた胆道系疾患手術後の急性腎不全—とくに急性閉塞性化膿性胆管炎における肝腎症候群の発来について

著者: 三樹勝1 金徳栄1 山川秀1 山口健次1 滝沢隆雄1 遠井敬三1 山本保博1 山下精彦1 関谷宗則1 森山雄吉1 恩田昌彦1 吉岡正智1 代田明郎1

所属機関: 1日本医科大学第1外科

ページ範囲:P.1569 - P.1580

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はじめに
 私どもは外科医としての立場からいわゆる肝腎症候群というものを,一応"各種の原因による閉塞性黄疽の経過中に乏尿,尿成分の異常,高窒素血症などを認め,腎不全症状を伴つたもの"と定義づけて,その病態について研究してきた1-4).その成績から外科領域における肝腎症候群の発来は(1)肝黄疸の程度や,また急性黄色肝萎縮にみられるような肝障害の程度とは必ずしも平行しない,(2)なんらかの手術侵襲や,重篤な合併症ないし継発症がある場合に発現しやすい,(3)この際,腎には主としてlower nephron nephrosis型変化と胆汁色素性障害の加味された型が認められる,という見解を報告してきた.良性であれ,悪性であれ,閉塞性黄疸を伴つた胆道系疾患の手術後に突如としてみられる乏尿ないし無尿は外科医として誰しもが遭遇する最も難治性の合併症のひとつであるが,胆道感染を伴つている症例に出現しやすいことは多くの人によつて認められている5).とくに近年胆道の最も重篤な感染症として,Charcot6)がすでに1877年に記載報告した急性閉塞性化膿性胆管炎acute obstructive supurativecholangitisの存在が,大浜7),菅原8)らの報告を契機としてわが国でも関心をもたれるようになつたが,本症における肝腎症候群の発来が極めて高頻度なことから,本症を中心に胆道感染と腎病変との関連性についての成績を述べ,肝腎症候群の発来に関するその後のわれわれの考えを述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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