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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻12号

1976年12月発行

文献概要

特集 胆道手術後の困難症

術後黄疸

著者: 菅原克彦1 河野信博1 三谷進1 桜井秀憲1 岩月淳1 長尾桓1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1581 - P.1587

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はじめに
 手術後に発症し,また増強する黄疸は外科医をして驚かしめる不慮の合併症である.肝・胆道・膵疾患以外の一般外科手術後に,しかも術前に臨床的に肝障害が存在しないにもかかわらず発症することがある.この原因としては,術前に発見し得なかつた胆石や胆道腫瘍,輸血,肝に有害な薬物の使用,感染などが推定される.もちろん黄疸は肝・胆道・膵の器質的疾患や先天的形態異常に対する手術後にもみられ,この際は肝障害の増悪として理解されるほか,発黄の原因となる因子は前者と同様に考慮される.その他いずれの領域の手術後にも,推定し得る通例の発黄因子以外の原因で発症する黄疸があり,時に中等度以上の高ビリルビン血症をきたすことがある.
 このような術後黄疸に対する治療方針をたてるにあたり,診断は必ずしも確定的とはならないので,なお多少の不安を残すこととなる.術後黄疸の大部分は軽度および中等度の一過性の黄疸であることが多いが,なかには肝不全にいたるものや,緊急手術の対象となる合併症が原因となることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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